研究課題/領域番号 |
25871064
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
石本 雄大 総合地球環境学研究所, 研究部, プロジェクト研究員 (10521990)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | レジリアンス / 食料確保 / 砂漠化 / 小規模農民 |
研究概要 |
平成25年度はアフリカ半乾燥熱帯に位置するザンビアにおいて小規模農民の適応能力に関し,実態調査およびその分析,文献調査に取り組んだ。また,翌年度以降に実施予定であった食料生産システムの再構築に関する研究を前倒しし,開始した。以下に,実績を箇条書きする。 1. 農民および牧民の適応能力の実態調査を,特に食料生産に関する自然資源管理について開始した。 (1) 位置情報把握:耕地・放牧地・放牧経路・水場をGPS機器による計測を開始した。 (2) 慣習的土地利用制度把握:耕地・放牧地の来歴,相続者と被相続者の関係を聞取りした。 2. データ解析を,現地調査において取得した位置情報についてGISでの整理・分析を開始した。 3. 文献調査を,(1) 砂漠化前線地域での土地利用変容や,(2) 土地保有や土地争い解決に関わる法制度について開始した。法制度は,公的なもののみならず,非公的な慣習法や日々のネゴシエーションなどに関する先行研究もついても,文献調査の範囲に含めている。 4.アフリカ半乾燥熱帯の食料生産システムの再構築を理解するため,西アフリカおよび南部アフリカでこれまで行ってきた生業調査の結果を比較検討した。特に,大旱魃により生業システムへ深刻な被害があった際の小規模農民の対応について考察し,成果公表を開始した。その評価の1つとして,日本沙漠学会第24日学術大会ベストポスター賞受賞が挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一の理由は,アフリカ半乾燥地における小規模農民の適応能力に関する現地調査に取り組み,実施した調査の整理・分析も開始することができたことである。 第二の理由は,翌年度以降に予定していた,農民による食料確保システムの再構築能力に関する研究に,これまで西アフリカおよび南部アフリカ半乾燥地で行ってきた生業研究の結果を元に比較考察することで,取り組み始めたことである。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は自然災害への対処能力およびシステム再構築能力の実態調査及びその分析,文献調査を行う(適応能力に関する調査も継続:降雨変動に伴う季節・年変化比較のため,計測・聞き取りを継続)。また,学会発表などの成果公表も随時行う(日本アフリカ学会,日本沙漠学会など)。 1.災害への対処能力についての実態調査:被害の回避・軽減や食料補填 -世帯戦略比較:立地・世帯員構成・経済状況による世帯戦略の違いを理解するため世帯調査を行う 2.食料生産システム再構築についての実態調査:大旱魃への対応 (1) 自給的生業活動の転換:農耕・牧畜の変容について労働力管理および販売活動の観点から聞取り,(2) 現金獲得活動導入:出稼ぎ・賃労働などの急増する原因と背景について聞き取り。特に現金獲得および労働力管理の観点から 3.データ整理 (1) 災害対処の世帯調査データの整理・分析,(2) 聞取りデータから世帯・村・地域単位での食料生産システム再構築について考察 4.文献調査 (1) 半乾燥熱帯での対処行動について, (2) 半乾燥年帯における食料生産システム変容について
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