本研究では、1609年から1768年にかけてのスペイン統治時代の南米ラプラタ地域(現在のパラグアイ南東部、アルゼンチン北東部、ブラジル南部、ウルグアイからなる領域)でイエズス会士が運営した、総数30の布教区と呼ばれた居住地の住民名簿の通時的な分析を行った。本研究が主たる分析対象としたのが布教区住民名簿であり、名簿は1656年から1801年にかけての特定時期にスペイン人官吏が布教区を巡察した際に作成された。その数はおよそ250、30箇所の布教区すべてを網羅している。名簿の分析を通じて、イエズス会士が約160年にわたり実践したキリスト教布教政策が先住民に与えた社会文化的インパクトを解明できた。
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