研究概要 |
ALK融合遺伝子においては免疫染色法およびFISH法がすでに汎用されているが、RET, ROS1融合遺伝子は、これらの野生型キナーゼがある程度バックグラウンドで発現しているため、免疫染色による診断が困難である。加えて、FISHに関しても、我々の経験上ALK融合遺伝子よりも困難である。すなわち、RET, ROS1融合遺伝子については実用的な診断法がない。また、FISHや免疫染色などの病理組織学的なアプローチによりスクリーニングされた転座候補症例のうち、RACE法やinverse RT-PCR法といったconventionalな方法では融合遺伝子同定に至らないケースが多く実在する。そこで、A) 既知の融合遺伝子の実用的な診断法の開発ないしバイオマーカーの同定、B) 融合遺伝子探索システムにおける新規融合遺伝子同定効率の向上を目指し、A) ALK, ROS1, RET融合遺伝子陽性である肺癌症例に、EGFR変異陽性例とこれら4種の異常すべてが陰性である症例を加え、遺伝子発現プロファイルをHuman Genome U133 (HG-U133) を用いて取得した。B) FISHスクリーニングにより同定された転座陽性候補症例について、キナーゼ遺伝子をprobeとしたRNA capture sequenceを行った。
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