研究課題/領域番号 |
25871075
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
片野 いくみ 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (90442558)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒト化マウス / NK細胞 / ヒト免疫 / hIL-2 / hIL-15 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的ヒトNK細胞が劇的に分化するマウスを作製し、ヒトNK細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性をin vivoで検証することが可能となる実験システムを確立することである。 申請者らが開発したヒトインターロイキン-2(hIL-2)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウスは、ヒト造血幹細胞を移植しヒト化するとヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的成熟NK細胞が劇的に分化する。 平成26年度は、ヒト造血幹細胞を移植し機能的成熟NK細胞を増加させたヒト化NOG-hIL-2 Tgマウスに、既存のヒト腫瘍細胞および抗体医薬品を組み合わせて作製したin vivo ADCCモデルの検証を複数回実施した。NOG-hIL-2 Tgマウスの結果をまとめ、論文を投稿し、採択された。 一方で、機能的NK細胞の分化・成熟に必須と言われているhIL-15の遺伝子を導入し樹立したNOG-hIL-15 Tgマウスに関して、造血幹細胞移植実験の至適条件を検証したが、細胞の移植条件とヒトNK細胞の分化率とのバランスの良い系を作製することは非常に困難であることが判明した。しかし、ヒト末梢血より単離した成熟NK細胞を移植細胞として用いた場合、ヒト成熟NK細胞が生着・一時的に増幅し、さらに、ヒト末梢血と同様の表現型を有したままマウス生体内に長期間維持されることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) ヒト造血幹細胞を移植してヒト化したNOG-hIL-2 Tgマウスに、ヒト腫瘍細胞株および医療用抗体を用いることで、in vivo ADCC細胞傷害試験系を複数回実施した。 2) 1)の結果を含めた論文を発表した(2015. Journal of Immunology. Katano, I. et al. Predominant Development of Mature and Functional Human NK Cells in a Novel Human IL-2-Producing Transgenic NOG Mouse.)。 3) NOG-hIL-15 Tgマウスに造血幹細胞を移植し、移植時の至適条件の検討および分化したヒトNK細胞の特性解析を行った。 4) NOG-hIL-15 Tgマウスにヒト末梢血由来成熟NK細胞を移植し、長期的な生着能を確認した。 5) NOG-hIL-2/hIL-15 double Tgマウスを作製した。
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今後の研究の推進方策 |
1) NOG-hIL-15 Tgマウスは、ヒト末梢血由来NK細胞移植実験を主体に研究を進める。NOG-hIL-15 Tgマウスで増幅・維持されたヒトNK細胞の特性解析を進める。さらに、ヒト腫瘍細胞株・抗体医薬品を用い、in vivo細胞傷害試験系の樹立を目指す。 2) NOG-hIL-2/hIL-15 double Tgマウスに、ヒト造血幹細胞およびヒトNK細胞移植実験を行う。NOG-hIL-2 TgマウスおよびNOG-hIL-15 Tgマウスの結果と比較し、ヒト末梢血中の成熟NK細胞の性質を再現し得る系統となりうるか評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に予定している実験で、高額な試薬の使用量が増える可能性が考えられた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の物品費と併せて、高額試薬の購入に充てる。
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