研究課題
本研究課題の目的は、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力の持つ機能的ヒトNK細胞が劇的に分化・増幅・維持するよう遺伝子改変を加えた免疫不全マウスを作製し、ヒトNK細胞の抗体依存性細胞傷害活性(Antibody-dependent-elluler cytotoxicity, ADCC)活性をin vivoで検証することが可能となる実験システムを確立する事である。申請者らが開発したヒトインターロイキン-2(hIL-2)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウス(NOG-hIL-2 Tgマウス)は、ヒト造血幹細胞を移植しヒト化すると、ヒト腫瘍細胞を傷害する能力を有する機能的成熟NK細胞が分化・増幅し、ヒト腫瘍細胞およびヒト抗体を併用することでin vivo ADCCモデルを確立することができた。一方、ヒトインターロイキン-15(hIL-15)遺伝子を導入した超免疫不全NOGマウス(NOG-hIL-15 Tgマウス)も、ヒト造血幹細胞を移植することで機能的成熟NK細胞が劇的に分化・増幅したが、in vivo ADCCモデルを作製する上でバランスの良い実験プロトコールを確立をすることは困難であると評価した。従って、移植細胞をヒト末梢血から分離した成熟NK細胞に変更し、前年度に引き続き平成27年度も、NOG-IL-15 Tgマウスへ移植した後のヒト成熟NK細胞の特性解析およびヒト腫瘍細胞株に対する抗腫瘍活性の検証を行った。結果、NOG-hIL-15 Tgマウス内で増幅したヒト成熟NK細胞は、その分子生物学的特性は維持されているが、細胞傷害活性は減退することが明らかとなった。ヒト成熟NK細胞の細胞傷害活性が維持/向上されることを目的とし、NOG-hIL-2/IL-15 double Tgマウスを作製し、ヒト成熟NK細胞移植実験を行ったが、NK細胞に少量混入していたヒトT細胞が急激に増幅したため、NK細胞に対する正確な評価が困難となった。従って、ヒトT細胞増幅を抑制できる移植条件を確立するために、NK細胞の精製方法およびヒト抗体投与による抑制効果を組み入れた検証実験を実施した。
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Journal of Immunology
巻: 194 ページ: 3513-3525
10.4049/jimmunol.1401323. Epub 2015 Feb 23.