新学習指導要領では学校と社会教育施設の連携がさらに推奨されるようになり、博学連携が積み重ねられている。しかし実際に動物園で学習する多くの学校は「ただ見学するだけ」というのが現状である。本研究では博学連携で開発されたプログラムを多くの学校が利用できるよう一般化・教材化することを目指し、教員等を対象とした利用者研究と、事前学習教材に関する調査、開発をおこなった。 1.教員等を対象とした利用者調査:日本モンキーセンターへ来園した学校教員への事後アンケートを実施し、748名から回答を得た。多くの学校が何かしらの事前学習をおこなっており教材への要望も多岐にわたった。 2.事前学習教材に関する調査:動物園水族館の教育担当者が集う研究会に計4回出席し情報収集やヒアリングを実施した。H27年度には貸出用事前学習教材の運用実績がある東京都多摩動物公園と千葉市動物公園にてヒアリングをおこない、観察視点の提供方法や運用方法など多様な工夫が盛り込まれていること、教科教育を意識した教材が少ないことがわかった。 3.事前学習教材の開発:上記調査結果をふまえ、日本モンキーセンターで実績のある教育プログラムや博学連携実践を元に貸出用事前学習教材を開発した。最も来園の多い小学校低学年向けに「比べてみよう、サルとキミ」と題した教材を3セット制作し、平成27年度に2小学校に実践し評価改善を実施、改良したものを10セット制作し運用を開始した。そのほか小学1、2年生の生活科および4年生理科を対象とした「季節と食べ物」、小学5年生理科を対象とした「サルの誕生と成長」の事前学習教材も制作した。 4.成果発表:3年間で計9回の成果発表をおこなった。開発した教材は学校向けリーフレットやWebページを制作し周知を図った。今後は開発した教材の運用と評価改善をすすめるとともに、他の動物園等の参考となるよう情報発信をしていきたい。
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