個人の家庭での節電意識・行動・効果のプロセスに係る新たな理論モデルを確立し、社会調査から得られるデータの分析(共分散構造分析等)により理論モデルの妥当性・頑健性を検証し、節電行動の意思決定と節電効果に影響を与える要因を、理論的・実証的に明らかにする。そこでは、私的費用・便益評価、社会的便益評価、節電要請、世論・他者同調圧力、政府・電力会社への信頼等の節電行動・効果の促進要因の影響度について、属性別(地域、年代等)の違い、時間経過に伴う変化を明らかにする。これにより、行動変化を促し、それを定着・継続させるようなインセンティブを与える制度・しくみのあり方を、一律でないと想定される属性別に考察し、提案する。 本年度は、H26年度に実施した夏季の4年間データでの分析視角や結果を踏まえて、H23冬季~H26冬季の調査データで同様の分析を行い、冬季における時間経過に伴う節電行動・効果の促進要因の変化を明らかにするとともに、夏季データでの分析結果との比較を行った。そして、H26年度実施の夏季の4年間データでの分析結果も踏まえて、一時的ではなく、中長期において節電意識・行動・効果を定着させるような、政策・対策のあり方を考察した。 複数年における「意識→行動→効果」プロセス、およびこれに影響を与える要因の影響力の時間経過に伴う変容を考察することで、本研究では、「時間軸を考慮した現実の環境負荷低減に係る環境配慮行動の効果プロセスの解明」を行った。
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