研究課題
若手研究(B)
照射イオンの体内深部位置のリアルタイムモニター技術は、照射位置のずれを治療中に修正することを可能とし、治療の信頼性を向上する。しかし、従来の陽電子消滅ガンマ線測定によるモニター手法はガンマ線の発生量が少なくリアルタイムモニターとしての利用は困難であった。そこで本研究では、発生量の大きな低エネルギー光子を測定することにより飛程位置の推定が可能となる技術を開発し、リアルタイムモニターの実現を目指す。平成25年度に粒子線入射時に発生する低エネルギー領域の放射線の種類、エネルギー、放出量等を正確に把握するための検討を、シミュレーション及び実験的手法を用いて行い、平成26年度にリアルタイムモニター装置のプロトタイプ機の設計及び性能試験を行う計画である。平成25年度はシミュレーションスタディを進展させた。シミュレーション空間に水ファントムを設置して、コリメータ及び位置敏感型検出器を配置した状態で、粒子線(炭素線及び陽子線)入射に付随して放出される光子の発生機構をついて詳しく調べた。その結果、低エネルギーの二次電子の発生が低エネルギー光子の発生量に大きく影響していることが分かった。しかし、二次電子発生に付随する光子を精度よくシミュレーションするには計算時間が当初の予測より大幅に長くなることが判明した。これに対応するため、現在用いている計算機よりも大幅に高速な大型計算機を利用したシミュレーションの準備を進めている。
3: やや遅れている
実験の実行に必要なシミュレーションスタディと、これに伴う実験機材の設計、製作準備が若干遅れている。
まず、モンテカルロシミュレーションを原子力機構の大型計算機で実施し計算時間を大幅に短縮する。これにより、低エネルギー光子スペクトル及び発生強度の位置依存性を精度良く計算した上で、この結果を基に照射実験の実験セットアップを決定し、実験を遂行する。これらシミュレーション及び実験による考察で、低エネルギー領域の放射線の種類、エネルギー、放出量等を正確に把握し、最終年度である26年度にリアルタイムモニター装置のプロトタイプ機の設計及び性能評価を行うことで、本研究の目標を達成する。
シミュレーションスタディに十分に時間を掛ける必要があり、これにより、物品等の購入を次年度に繰越す必要が生じた。今年度予定していた実験機材の購入に使用する。
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