研究課題/領域番号 |
25871095
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
小沢 和巳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門 六ヶ所核融合研究所, 任期付研究員 (80613330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SiC / 繊維 / 照射効果 / 強度特性 |
研究概要 |
核融合炉構造材料として先進SiC/SiC複合材料の実現にあたり急務となるのは、知見が極めて限られている主構成要素の先進SiC繊維の高線量での照射下挙動の解明である。そのため、1)これまでの知見が限られている先進SiC繊維に対する高線量下での微細組織に及ぼす照射効果を明らかにするとともに、2)集束イオンビーム(FIB)装置を駆使した超微小試験片を用いる評価手法を新規に開発し、これまで実施が極めて困難であった先進SiC繊維の強度特性に及ぼす照射効果を調べることを本研究の主目的に据えた。 本年度については、先進SiC/SiC複合材料の主構成要素をなし、近量論組成・高結晶性を特徴とし、かつ一般的に商業購入可能な先進SiC繊維に対し、核融合原型炉の機能材料と想定される条件で照射実験を行い、微細組織安定性を評価した。その結果、2種類の先進SiC繊維のうち、Hi-Nicalon Type-S繊維について、段差測定評価からは、同繊維がSiCマトリックスよりも小さいスウェリング挙動を示していること、また微細組織評価からは、同繊維の結晶粒界(あるいはサブ結晶粒界上)に存在する、プロセス由来の残留カーボンが粒内に移動したと思われる結果が得られたことから、同繊維が高線量照射後において、高結晶性かつ化学量論組成のSiCマトリックスと挙動が異なることが示唆される結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微細組織評価に関しては、まず最終目標としていた高線量の照射実験が完了し、TEMによる観察を概ね完了することができた。また、FIBを用いた超微小試験片での強度試験についても具体的な評価法について検討を進めることができた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
微細組織評価に関し、EELS等を含めた分析を加える。それとともに、参照材として豊富な照射データを有するモノリシックCVD-SiCの結果を参考にしながら、超微小試験片を用いた強度評価を実施することで、40-70 dpa付近でのSiC繊維の強度が担保できる「しきい線量」を特定しつつ、その劣化機構を解明する方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初、強度試験治具の製作を想定していたが、精密な評価のためにはさらなる改良が必要となり完全な治具製作に至っていないこと、ならびに、予定していた海外発表を取りやめたのが主な理由である。 本年度の検討で適切と判断された強度試験治具を製作するとともに、より積極的に海外発表し広く成果を発信していく、さらには照射実験を増やす方針である。
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