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2014 年度 実施状況報告書

ブタ精子幹細胞の単離・濃縮法および移植法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25871106
研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

千本 正一郎  独立行政法人農業生物資源研究所, 医用モデルブタ研究開発ユニット, 主任研究員 (60372661)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードブタ / 精巣 / 精子幹細胞
研究実績の概要

本年度は以下2つの課題を実施した。
『ブタ精巣成熟過程における生殖細胞系列の動態の観察』
様々な生後齢の精巣(生後直後(生後3日)から成豚(6ヶ月齢))をサンプルとし,減数分裂期細胞特異的遺伝子(Haspin, SYCP3, DMC1)の発現時期を定量RT-PCRを用いて調べた。いずれの遺伝子も3ヶ月齢以降の精巣から発現が観察された。組織学的観察では,3ヶ月齢の精巣精細管内では生殖細胞の多層化が始まり,4ヶ月齢の精巣では造精が起こっていることがわかった。また,哺乳類で生殖細胞や幹細胞に特異的に発現すると報告されている遺伝子数種のタンパク質レベルでの発現を免疫組織化学的に調べた。その結果,PGP9.5は生後直後から成豚の精細管中の生殖細胞に発現がみられた。また4ヶ月以上の精巣では精細管壁に沿って局在しており,それらの一部は,分裂期細胞特異的に発現するKi67 positiveな細胞であった。生殖幹細胞が局在するnicheは精細管壁であるという定説を考慮すると,PGP9.5(+)/Ki67(+)細胞が分裂・増殖中のブタ精子幹細胞であると判断してよいと考える。以上の結果から,ブタ精巣の成熟過程においては一貫してPGP9.5が精子幹細胞のマーカーとなりうることが示唆された。
『ブタ精子幹細胞の単離・濃縮法の開発』
昨年度,酵素処理,溶血処理を用いて,ブタ精巣組織から精巣細胞を効率的に単離する方法を考案した。上述のPGP9.5をマーカーとして,単離細胞のうち,どの程度の割合で精子幹細胞が含まれているかを調べた。様々な生後齢の精巣(生後3日から6ヶ月齢)を用いて実験を実施した。その結果,いずれの生後齢の精巣からも,単離細胞のうちの0.5%程度(もしくはそれ以下)がPGP9.5(+)細胞であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本課題初年度終えた昨年度の段階で,【研究実績の概要】中の『ブタ精巣成熟過程における生殖細胞系列の動態の観察』を新たな検討項目として加え,本年度はそれを中心に研究を実施した。その結果,PGP9.5がブタ精子幹細胞のマーカーとなりうることがわかり,この成果を利用して,単離した精巣細胞群のうちの精子幹細胞の割合を割り出す評価系の確立に繋がった。しかし,本研究計画策定当初には2年目を終える現段階で『ブタ精子幹細胞の単離・濃縮法の開発』を終えている予定であったため,本課題全体として“やや遅れている”と自己評価する。

今後の研究の推進方策

『ブタ精子幹細胞の単離・濃縮法の開発』にあたり,細胞の単離技術につては現段階でほぼ確立している。その一方で,精子幹細胞の濃縮方法の検討が充分には進んでいない。ブタの精巣から単離した細胞の約9割が生存している一方で精子幹細胞の割合は全体の0.5%以下と非常に低い。そのため次年度以降は『percoll密度勾配遠心法』および『differential plating法』を用いてブタ精子幹細胞を濃縮する実験系の検討を中心に研究を進める予定である。

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公開日: 2016-06-01  

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