• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

オクタン酸はGタンパク質共役型受容体を介してブタ脂肪細胞分化を引き起こすか?

研究課題

研究課題/領域番号 25871108
研究種目

若手研究(B)

研究機関独立行政法人農業生物資源研究所

研究代表者

谷口 雅章  独立行政法人農業生物資源研究所, 家畜ゲノム研究ユニット, 研究員 (60531431)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードGタンパク質共役型受容体 / 脂肪細胞 / 脂肪酸 / バイオマーカー / ブタ / 分化誘導
研究概要

ブタの脂肪は生産性および食味性の両面に関わる重要な食肉の構成要素である。そのため、ブタの脂肪細胞分化における制御機構の理解は、おいしい豚肉を効率的な飼養管理で生産するためのカギとなる。ブタ脂肪細胞の分化誘導にオクタン酸が必須であることが分かっているが、作用機序は明らかとなっていない。近年、血中遊離脂肪酸がGタンパク共役型受容体(GPCR)を介して脂肪細胞分化等に関わることが報告された。そこで本研究は、ブタ脂肪前駆細胞において発現するGPCR遺伝子を同定し、脂肪細胞分化に関わるか検討することを目的とした。
次世代シーケンサーを用いて、ブタ皮下脂肪由来脂肪前駆細胞(PSPA: Porcine Subcutaneous Pre-Adipocyte)で発現するGPCR遺伝子の同定を試みた。その結果、10種類のGPCR遺伝子がPSPAで発現することを明らかにした。それらの完全長cDNA塩基配列を決定し、遺伝子発現量の変動を検討したところ、PSPA分化誘導に伴って発現量が大きく上昇したGPCR遺伝子と、ほとんど変化しなかったGPCR遺伝子が存在することを明らかにした。ブタGPCR遺伝子のノックダウン効果を検討するため、10遺伝子それぞれについて特異的なsiRNAを作製し、PSPAへトランスフェクションした後、分化誘導処理した。全10種類のGPCR遺伝子発現量の減少が確認されたが、そのうち5種類のGPCR遺伝子ノックダウンにより、脂肪分化マーカーであるPPARg2遺伝子発現量、ならびに、トリグリセライド合成量が減少することを明らかにした。今後、これら5種類のGPCR遺伝子の脂肪細胞分化における効果を検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究目標として、まずPSPAで発現する10種類のGPCR遺伝子の完全長cDNA塩基配列を決定した。次いで、決定した完全長cDNA塩基配列をもとに、各GPCR遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブを作製し、リアルタイムPCRによる遺伝子発現量解析を行った。その結果、PSPA分化誘導時における10種類のブタGPCR遺伝子の発現パターンから、5遺伝子が分化誘導刺激により高発現したが、残りの5遺伝子は発現量が変化しなかったことを明らかにした。さらに、完全長cDNA塩基配列をもとに各GPCR遺伝子に特異的なsiRNAを作製した。それにより、PSPAをもとにした遺伝子ノックダウン実験系を構築した。これを用いてGPCR遺伝子発現量が減少すると、脂肪細胞分化マーカーの遺伝子発現量が減少すること、さらに、トリグリセライド合成量も減少することを確認した。
最初に取り組んだ完全長cDNA塩基配列の決定において、10 遺伝子の内、3遺伝子の完全長cDNA塩基配列のサイズが大きかったため想定していた以上に塩基配列決定に時間がかかったが、その後の遺伝子発現量の測定、siRNAによる遺伝子ノックアウト実験、脂肪細胞分化の検討は順調に進展したため、平成25年度に目標とした解析が完了したと考えている。

今後の研究の推進方策

前年度(平成25年)中に、10種類のブタGPCR遺伝子を同定した。siRNAを用いた遺伝子ノックダウンにより、脂肪細胞分化マーカーであるPPARg2遺伝子発現量の減少、および、トリグリセリド合成量の低下に関与するGPCR遺伝子が存在することを明らかにした。そこで、本年度(平成26年)は、PSPA分化におけるブタGPCR機能の全体像を解明するため、ブタ発現遺伝子マイクロアレイ(Agilent社製)を用いた網羅的遺伝子発現量解析を行う。その結果、発現量変動を示した遺伝子に関してGene ontology(GO:生理機能や細胞局在などによる遺伝子の分類)、および、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes(KEGG)パスウェイ等、データベースの情報を解析する。これらによる解析の結果から、複数のGOならびにKEGGに同定される遺伝子は特に重要な働きを持つと考え、PSPAを用いて、脂肪細胞分化に対する影響を詳細に検討する。本研究の進展により、オクタン酸とブタの脂肪細胞分化レベルの関係が明らかとなれば、血中の遊離脂肪酸が豚肉成熟度の指標(バイオマーカー)としての利用可能性が考えられる。また、本研究で同定したブタGPCR遺伝子において、ブタ品種および系統間での特徴的な遺伝的多型が検出され、さらに、脂肪関連形質との関係が明らかとなれば、DNAマーカー育種への応用も期待される。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Identification and gene expression analysis of G-protein-coupled receptors in the differentiation of Porcine Subcutaneous Pre-Adipocytes (PSPA)2013

    • 著者名/発表者名
      Masaaki Taniguchi, Hirohide Uenishi, Satoshi Mikawa
    • 学会等名
      第36回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル
    • 年月日
      20131203-20131206

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi