ピクセル毎に高速処理回路を搭載した、ワンチップ型のピクセル検出器を開発して、次世代ピクセル検出器として実用化できるレベルまで完成させる。具体的には、(1) CMOS回路の性能を向上させる技術であるSOI(Silicon - on - Insulator) 技術を用いて、ピクセル内で高速処理を行って検出情報をデジタル化する。(2) SOI基板にセンサを形成させて、センサと回路が一体になったワンチップ型の検出器を作る。(3) 回路とセンサが近いことによる諸問題克服のために、2重SOIウエハを使用する。初年度の研究の結果、初段の回路を大幅に修正する必要があることがわかったので、回路に修正を加えた上で、ピクセルサイズを64ミクロンから50ミクロンに縮小させて、14bit計数型ピクセル回路を設計した。この年に行ったマルチプロジェクトウエハーラン(相乗りプロセス)において、チップサイズ6mm角、ピクセルサイズ50um角、80x80 ピクセルの計数型ピクセル検出器を製作した。また、チップサイズ2.9mm角内に、上述の計数型ピクセル回路の分割回路と統一回路を搭載した計数型ピクセル回路試験チップを製作した。ウエハ種類は、低抵抗、高抵抗、2重SOIすべてのウエハを用いてチップ製作を行った。当該グループで製作した計数型ピクセル検出器としては最小のピクセルサイズの試作機を製作することができた。また、2重SOIウエハを用いたSOIセンサ開発について、国内、国外会議で成果を発表した。
|