分子における近藤効果と磁気異方性の解明に向けて、分子・基板の特性、吸着の効果、電子相関効果の3つの要素を取り込むことができる理論手法の構築を行った。近藤効果については、鉄フタロシアニン分子における近藤効果の化学的制御や、マンガンフタロシアニン分子における強いπ-d相互作用が生み出す空間的に広がった近藤効果が存在することを実験との共同研究で明らかにした。磁気異方性については鉄フタロシアニン分子におけるスピン-軌道相互作用の1次の効果を取り込むことができる、配位子場理論に基づくシンプルなモデルハミルトニアンの構築とその解析を進めている。
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