研究概要 |
piggyBac遺伝子導入系を用い、外来性リプログラミング因子の発現をドキシサイクリンの添加の有無によって任意に制御可能としたポリシストロニックカセット(TET-ONリプログラミング因子)と、樹立した細胞の多能性・キメラ貢献能・生殖細胞寄与能を評価するための蛍光レポーター(EOSレポーター、RFPレポーター、Acrosinレポーター)を体細胞に導入して iPS細胞を誘導する動物種を問わないユニバーサルな培養条件評価系を開発し、129B6F1系統および従来ES細胞株を得ることが困難であったNOD系統由来マウス胎仔線維芽細胞、およびラット胎仔線維芽細胞から、従来の培養条件を用いて生殖細胞寄与能を持つマウスおよびラットiPS細胞を樹立できることを示した。(Tsukiyama T. et al.,2014, PLoS ONE, 9(3): e92973)なお、この論文はマウス-ラット異種間キメラ内でラットiPS細胞由来の機能的なラット生殖細胞を作出した最初の報告であり、蛍光レポーターの発現によって非侵襲的にキメラ貢献能、生殖細胞寄与能を評価できる実験系の有用性が示された。 さらに、GSK3阻害剤を含むエピブラスト幹細胞培養条件を用いてES細胞を培養すると、ES細胞とエピブラスト幹細胞の中間の性質を示す新規の多能性状態に安定化することを見出した。Intermediate Pluripotent Stem Cell(INTPS細胞)と名付けられたこれらの細胞は、上記の実験系により、キメラ貢献能、生殖細胞寄与能を有することが示された。この培養条件はLIFシグナリングに依存せずに多能性を維持することができ、非齧歯類における新規多能性幹細胞株を樹立する上で有用である可能性があり、論文として報告した。(Tsukiyama T. et al., 2014, PLoS ONE, in press)
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