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2014 年度 実績報告書

細胞極性形成におけるポジティブフィードバック機構の1分子イメージング解析

研究課題

研究課題/領域番号 25871120
研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

松岡 里実  独立行政法人理化学研究所, 生命システム研究センター, 研究員 (00569733)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード細胞極性 / 1分子イメージング / PTEN / PI(3,4,5)P3 / 自己組織化 / 細胞性粘菌
研究実績の概要

移動運動する細胞の進行方向を決定するシグナル分子にPI(3,4,5)P3(PIP3)がある。PIP3とPIP3の脱リン酸化酵素PTENは自己組織化により細胞膜上で相互排他的に分布する。そこで、PTENの細胞膜との相互作用のPIP3依存性を共焦点および1分子イメージングによって解析した。まず、細胞膜のPIP3レベルを人為的に変化させる系を構築し、PIP3レベルを上げるとPTENが細胞膜から細胞質へと移行することを明らかにした。PIP3が自身の分解を抑制するポジティブフィードバックが働くことを示唆している。この系を用いて、細胞膜に結合しているPTEN分子を1分子イメージングによって可視化し、結合時間と拡散軌跡の統計的解析によって細胞膜に結合してから解離するまでに起こるPTEN の状態遷移を説明する数理モデルを構築した。PTENは拡散係数で区別できる3つの状態をとることを既に明らかにしている。解析の結果、拡散の速さが中程度の状態が酵素として活性のある活性状態であり、PIP3の脱リン酸化に伴ってPTENの膜への結合性が低下することが分かった。PIP3レベルを上げると、拡散が最も遅く脱リン酸化活性の低い安定結合状態が抑制されて活性状態をとりやすくなった。このことから、PIP3レベルが低いと安定結合状態をとって酵素反応に携わらずに細胞膜に蓄積する傾向にあるが、PIP3レベルが高いと活性状態をとってPIP3を脱リン酸化すると同時に細胞質へ移行するようになると考えられる。本研究が明らかにしたPIP3からのフィードバックによるPTENの状態制御は、PIP3とPTENの細胞膜上でのレベルに相互排他的な双安定性をもたらすものであり、細胞の前後極性形成メカニズムの基盤をなすと考えられる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] PTEN hopping on the cell membrane is regulated via a positively-charged C2 domain2014

    • 著者名/発表者名
      Masato Yasui., Satomi Matsuoka, Masahiro Ueda
    • 雑誌名

      PLOS Computational Biology

      巻: 10 ページ: e1003817

    • DOI

      10.1371/journal.pcbi.1003817

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 1分子イメージングによる走化性情報伝達系の動態解析2014

    • 著者名/発表者名
      松岡里実、上田昌宏
    • 雑誌名

      生体の科学

      巻: 65 ページ: 394-395

  • [学会発表] PTENの1分子イメージングによる細胞極性形成メカニズムの解析2015

    • 著者名/発表者名
      松岡里実,上田昌宏
    • 学会等名
      日本顕微鏡学会第71回学術講演会
    • 発表場所
      京都、京都国際会館
    • 年月日
      2015-05-15
    • 招待講演
  • [学会発表] Single-Molecule Imaging Analysis of PI3K and PTEN in Establishing PIP3 Polarity2015

    • 著者名/発表者名
      松岡里実,福島誠也、上田昌宏
    • 学会等名
      Gordon Research Conference: Directed Cell Migration
    • 発表場所
      Galveston, TX, USA
    • 年月日
      2015-01-28
  • [学会発表] PI(3,4,5)P3-induced PTEN membrane release provides a positive feedback mechanism for cell polarity2014

    • 著者名/発表者名
      松岡里実,上田昌宏
    • 学会等名
      39th Symposium on Hormones and Cell Regulation
    • 発表場所
      Mont Sainte-Odile, Alsace, France
    • 年月日
      2014-10-10
  • [学会発表] Single-molecule imaging anlaysis of PI3K in chemotactic cell2014

    • 著者名/発表者名
      福島誠也、松岡里実,上田昌宏
    • 学会等名
      39th Symposium on Hormones and Cell Regulation
    • 発表場所
      Mont Sainte-Odile, Alsace, France
    • 年月日
      2014-10-09
  • [学会発表] Analysis of the Regulation Mechanism of PI3K Activity by Live-cell Single-molecule Imaging2014

    • 著者名/発表者名
      福島誠也、松岡里実,上田昌宏
    • 学会等名
      第52回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      札幌、札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-27
  • [学会発表] PTEN Membrane Binding is Destabilized by PI(3,4,5)P3: Positive Feedback Loop in Establishing Cellular Polarity2014

    • 著者名/発表者名
      松岡里実,上田昌宏
    • 学会等名
      第52回日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      札幌、札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2014-09-26
  • [図書] Chemotaxis:javascript:onSave() Methods and Protocols, Second Edition2015

    • 著者名/発表者名
      Satomi Matsuoka, Yukihiro Miyanaga, Masahiro Ueda
    • 総ページ数
      in press
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 1分子生物学2014

    • 著者名/発表者名
      松岡里実、上田昌宏
    • 総ページ数
      292(133-153)
    • 出版者
      化学同人

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公開日: 2016-06-01  

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