研究課題/領域番号 |
25871127
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
熊本 康昭 独立行政法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 特別研究員 (30611727)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 深紫外ラマン散乱顕微鏡 / 共鳴ラマン散乱 / 細胞内核酸分布 / 酸化抑制 / 光イオン化抑制 / 波面整形 / 偏光ラマン散乱 / 溶媒効果 |
研究概要 |
当該年度は、交付申請書の研究目的、研究実施計画に沿って、紫外光による分子の劣化を抑制する手法及び局在させる手法を開発しました。具体的には、紫外光照射による分子の酸化と光イオン化に着目し、大別して2つの手法を開発しました。酸化に着目し、試料への還元剤の導入、及び試料からの酸素の除去をおこない、酸化の原因である活性酸素種の発生及び活動を抑制することに成功しました。その結果として、分子の劣化の抑制及び局在に成功しました。また、光イオン化に着目し、試料への消光剤の導入、及び試料の冷却を利用した手法を開発し、消光材の導入と冷却により、分子の劣化を抑制することに成功しました。紫外光による分子の劣化の抑制・局在の結果、高い信号対雑音比及び解像度で細胞内生体分子分布の観察を実現しました。また、装置の光学系の収差に起因する紫外光照射領域の非局在に着目し、紫外光の波面の整形による照射領域の局在化を行ないました。その結果として、高い解像度での細胞の深紫外共鳴ラマン散乱イメージングを実現しました。試料内の分子の劣化と非局在は、当該研究課題の分析における課題であり、その抑制のための手法を確立したことは、深紫外共鳴ラマン散乱を利用した細胞内核酸分布の新しい分析法の確立の実現に向けて、重要な成果です。また、試料内の分子の劣化と非局在は、紫外顕微鏡の研究分野における共通の課題であり、当該年度の成果はその解決につながる重要なものです。 当該年度には、深紫外偏光ラマン散乱顕微鏡の開発、及び溶媒効果を用いたスペクトル測定も行ないました。これらの成果は、H26年度の課題である細胞内核酸の各塩基の分布観察及び、異なる構造の核酸の識別の実現に向けて、重要なものです。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度の4つの達成目標のうち3つの目標を既に達成しています。残る1つについても既に取り組んでおり、測定系の構築、予備となる実験データの取得は、終わっています。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、交付申請書に記載の計画に従い、細胞内生体分子の深紫外偏光ラマン測定、及び溶媒効果を利用したラマンイメージング分析を行ない、細胞内核酸の各塩基の分布分析、及び異なる構造の核酸の識別を目指します。
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