本研究では,テラヘルツ(THz)分光および高強度THz波発生技術を用いて分子凝集体における相転移機構の解明を目指した.注目したのは,「相転移前駆現象」と呼ばれる相転移の兆候であり,対応する分子運動モードと相転移プロセスとの関わり調べた.分光測定では,ナイロン6の構造転移およびシクロヘキサノールの多形転移を調べ,前者では,分子鎖間隔が変化する相転移と鎖方向の伸縮振動モードの関わりを明らかにした.後者では,多形転移が進む空間的な次元と水素結合様式との関わりを明らかにした.高強度THz光源を用いた実験では,THz波照射によって液晶相において大きな形状変化が誘起されることを見出した.
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