研究課題
Ras結合タンパク質の一つであるRalGDSは、低分子量Gタンパク質であるRalのグアニンヌクレオチド交換因子として働く。前年度までに、細胞内における全長RalGDSがRasと二つの異なる結合様式で相互作用することを明らかにした。この事から細胞内におけるRasも、構造多型性をもつ可能性が示唆された。そこで本年度はRas-RalGDS間相互作用における分子反応メカニズムを明らかにし、さらにRasの構造多型性との関連性についても調べるために、RalGDSの機能ドメイン(RBD,REMCDC)をHela細胞内に発現させ、これらドメインのEGF刺激に伴う細胞膜移行ダイナミクスの計測およびその速度論的解析を行った。その結果、Ras結合ドメインであるRBDにおいても、Rasと二つの結合様式で相互作用する事が明らかとなった。またRBDドメインがEGF刺激依存的なRalGDS分子の膜移行頻度を上昇させるのに寄与している事が明らかとなった。一方REMCDCドメインは、GTP-RasのSwitchⅡ領域内に存在するTyr-64との相互作用により、RalGDS分子の細胞膜上における滞在時間の決定に寄与していることが明らかとなった。これらのことは、Ralの活性化に重要な細胞膜上におけるRal-RalGDS間相互作用が、RasとRalGDSの複数の領域によって調節されていることを示していた。これらの研究結果を論文としてまとめ、学術誌で発表した。
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Biophysics and Physicobiology
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Scientific Reports
巻: 6 ページ: -
10.1038/srep35449