研究課題
若手研究(B)
卵巣明細胞腺癌ではCTGFの発現低下がfirst lineの治療に用いられているパクリタキセルの耐性を引き起こしている可能性があるという仮説の下での実験を行った。前実験でCTGF siRNAを投与した群でControl siRNAを投与した群に比べてパクリタキセルの感受性が低い傾向を示すことがWST-8 assayの結果明らかになっていた卵巣明細胞腺癌細胞株OVISEについて、そのCTGF siRNA投与時とControl siRNA投与時とのタンパク発現の違いを、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法で網羅的に検討する為に、OVISEにCTGF siRNAを投与したタンパク質ストックとControl siRNAを投与したタンパク質ストックを多数作成し、ストックごとにControl siRNAを投与した群とCTGF siRNAを投与群とのパクリタキセルの感受性の違いをWST-8 assayにて再検討したが、前実験で得られたほど明らかな差が見られないものが多く、その時の培養条件の微妙な変化でパクリタキセル感受性へのCTGFの影響が異なってくる可能性が示唆された。そのため、他の卵巣明細胞腺癌細胞株について、Control siRNAとCTGF siRNAを投与した群とでパクリタキセルの感受性に常に大きな差の見られそうな細胞株を探索する予定とした。また、CTGFの卵巣がん以外の癌における働きを検討し、卵巣明細胞腺癌と同じような働きをしている癌種を抽出し、本研究に役立てるために、頭頸部扁平上皮癌におけるCTGFと臨床病理学的因子との関連を検討した。頭頸部扁平上皮癌においてはCTGFが進行がんである病期IV期において、独立した生命予後因子である可能性が示唆され、卵巣明細胞腺癌におけるCTGFの働きとは異なっていると考えられた。
3: やや遅れている
卵巣がん細胞株OVISEにおいて、Control siRNAを投与した群とCTGF siRNAを投与した群とでパクリタキセルの感受性に大きな差が見られないことが多かったため、蛍光標識二次元ディファレンシャルゲル電気泳動にてControl siRNAを投与した群とCTGF siRNAを投与した群とを比較するところまで到達しなかった。
OVISE以外の卵巣明細胞腺癌細胞株について、Control siRNAとCTGF siRNAを投与した群とでパクリタキセルの感受性に大きな差の見られそうな細胞株を探索し、Control siRNAとCTGF siRNAを投与した群でのタンパク発現の違いを網羅的に解析する。
実験計画が遅れたため、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法を行うための使用期限の短い蛍光標識試薬分の金額を使用しなかったため。蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法の蛍光標識試薬代として使用する予定である。
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Human Cell
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10.1007/s13577-014-0092-0