研究課題
卵巣明細胞腺癌ではCTGFの発現低下がfirst lineの治療に用いられているパクリタキセルの耐性を引き起こしている可能性があるという仮説の下での実験を行った。卵巣明細胞腺癌細胞株でCTGFの発現の高い細胞株KK、ES-2とCTGFの発現の低い細胞株OVTOKO、OVMANAについてパクリタキセルの感受性を検討したところ、CTGFの発現の高い細胞株では低い細胞株に比べて、パクリタキセルの感受性が高い傾向をしめした。蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動法により、CTGFの発現の高い細胞株と低い細胞株で共通してタンパク発現の差のみられるスポットを抽出したところ、4つのスポットが存在した。これらのスポットのタンパクはパクリタキセルの感受性に関与している可能性が考えられるので、これらのスポットについて、CBB染色で対応するスポットを切り出し、In gel digestion法にてゲル内でトリプシン消化し、得られたペプチド断片を質量分析計にて解析し、タンパクの同定を行う予定である。また、低酸素状態では抗癌剤耐性になることが知られているため、CTGFが低酸素状態で発現低下している可能性を考え、CTGFの発現の高い細胞株KK,ES-2を1%以下の低酸素に暴露した際に、正常酸素分圧下で培養した際に比べて、CTGFの発現がどのように変動するか検討した。24時間低酸素に暴露した場合、低酸素で誘導される因子HIF1αの発現は上昇していたが、CTGFの発現に変動はなかった。そのため、CTGFは低酸素で引き起こされる抗癌剤耐性の機序には関与していないと考えられた。
4: 遅れている
質量分析計での解析を受託解析に頼もうと思っていたが、頼む先が検体の受け入れをしなくなってしまったため。また、CTGFの発現の高い細胞株を低酸素に暴露した場合、CTGFの発現が下がると予想していたが下がらなかったため。
質量分析計を使用させてもらう先を探す、または、受託解析してもらえる会社を探す予定である。
実験計画の再編成に時間がかかったため、用いた試薬、消耗品が少なかったため
試薬、消耗品、必要な備品代などとして使用する予定である
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日本婦人科腫瘍学会雑誌
巻: 33 ページ: 564-564