研究課題/領域番号 |
25871152
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
東方 孝之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東南アジアI研究グループ, 研究員 (70450533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地方分権 / インドネシア / 影響評価 / 自然実験 / 地方分立 / 公共財 / 投票行動 |
研究実績の概要 |
本研究では、インドネシアを事例に、(1)地方分権化が住民の厚生水準に与えた影響と、(2)地方分権化に伴う厚生水準の変化が住民の投票行動に与えた影響、について定量的分析を行う。インドネシアでは、地方分権化の導入後、地方自治体(県・市)の数が増え続けており、地方分権化の導入直後に354あった県・市が、分立を繰り返した結果、500近くにまで増えている。この過程で生じた自然実験的状況に着目し、地理的に小さな行政単位への権限移譲がもたらした影響を厳密な手法で分析することを目的としている。 平成28年度は、まず、世界銀行が収集・公開している地方財政情報を整理し、統計庁が公開している情報との整合性を確認した上で、地方自治体レベルでのパネルデータの構築を進めた。次に、2000年人口センサスの個票データを入手し、クリーニングを施したうえで、2010年の人口センサス情報とコミュニティー(行政村)・レベルでマッチングする作業を行った。ある1つの州についてのみまだ不完全な状態ではあるが、2010年時点の行政村の数でみれば約97%のマッチングに成功した。なお、この情報を援用して、Discussion Paper原稿を共著で二本執筆した(「The Causal Effect of Urbanization on Rural Poverty Reduction:Quasi-Experimental Evidence using Indonesian Urban Area Data」および「Human Capital Externalities in Indonesian Cities」)。最後に、2015年12月ならびに2017年2月に実施された統一地方首長選挙の選挙結果についての情報収集を進めた。特に後者については村レベルでの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
行政村レベルのパネルデータ構築作業に時間を要したため。村落センサスの人口情報に不備があることが分かったことから、人口センサスの個票データを用いた分析が不可欠となったが、2000年の人口センサスの個票データのクリーニング作業ならびに2010年人口センサスとの村レベルでのマッチング作業に膨大な時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度においては、まず、仮説を検証すべく、パネルデータ・セットを用いた分析作業を進める。次に、分析結果をDiscussion Paperとしてまとめ、口頭報告に対するコメントを反映させた後、投稿原稿として改訂作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった個票データを別の研究会予算で入手することができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度においては、最新版の家計調査結果などの個票データの購入やデータ整備のための人件費、英文校正、そして研究成果報告のための旅費等の費用に充てる。
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