アジア通貨危機後、インドネシアでは民主化が進み、その一環として地方分権制度の導入も急遽決定された。本研究では、まず、この制度の導入が住民の厚生水準に与えた影響を探った。これまでの分析からは、制度導入前に民族が多様であった地域ほど、導入後のインフラ整備状況の水準(アスファルト舗装率)および都市人口割合が相対的に低くなっていることが確認された。次に、行政村単位のパネルデータを援用してオリジナルの都市圏データを構築し、ジャワ島で発生した地震によって生じた都市圏の人口成長率の違いを自然実験とみなして分析した結果からは、都市圏の成長が周辺農村部の(特に貧困層の)消費水準を高めていたことが確認された。
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