研究課題/領域番号 |
25871156
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
白岩 健 国立保健医療科学院, その他部局等, 主任研究官 (20583090)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 医療経済評価 / 質調整存年 / 費用効果分析 |
研究実績の概要 |
前年度に同定した課題のうち、本年度は医療資源配分における医療関係者(医師)の選好構造について、調査を実施した。医療経済評価においては通常QALY(Quality-Adjusted Life Year: 質調整生存年)に基づきその効率性が検討される。QALYの原則は「”a QALY is a QALY” is a QALY(すべてのQALYを等価に扱う)」ことが原則であるが、実際の意思決定においてはすべてのQALYが等価である、等しく取り扱うべきであるという考えについては議論もある。例えば、医療経済評価を積極的に活用しているイギリスのNICE(The National Institute for Health and Care Excellence)では、QALYの他にも疾患の重症度や、終末期、イノベーションの大きさ、小児(年齢)などを考慮しているとされる。ただ、種々の要素がアドホックに検討されている場合も多く、その透明性が課題となることもある。そこで医療経済評価を用いた意思決定においてQALYの他にもどのような要素を考慮しうるのか検討するために、医療関係者(医師)に対してコンジョイント法を用いて、医療資源配分における選好について調査した。プロファイルは(a) 年齢(若年者/高齢者)、(b) 介入の種類(治療/予防)、(c) 重症度(重度/軽度)、(d) 過去の治療経験(あり/なし)の4属性について直交に組み合わせ16種類のプロファイルを作成した。16種類のプロファイルをランダムに2種類組み合わせ、どちらの健康状態に対して介入する医療技術(cost/QALYの等しいもの)を社会的に優先して提供すべきかを調査した。結果については現在解析中であり、研究期間終了時までには明らかにする。また、同様の調査について一般集団を対象に既に実施しており、それらの異同も含め結果の検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の検討に基づき、調査を行っており、調査対象者数の増加や今年度は統計解析や結果の検討を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今年度においては、昨年度収集したデータの統計解析や結果の検討を実施する予定をしている。また、昨年度はプレテスト的な側面もあり調査対象者数を限定していたが、今年度はさらに拡張して実施する。結果については、一般人を対象に同様の調査を実施した結果とあわせて検討する。 また、本年度については初年度に同定したQOL値に関する課題のうち、離散選択法からQOL値に変換するためのマッピングに関する統計手法について調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度はプレテスト的な側面もあり、調査対象となる回答者数を限定していたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度はさらに調査対象となる回答者数を拡張して、調査をさらに精緻化する。
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