今年度は,昨年度得られた日本人喫煙者の尿中4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanol(NNAL)分析結果とこれまでの先行研究で得られた各種バイオマーカーと関連性について解析を実施した。 尿中NNAL量(pg/mg creatinine)は,日本人喫煙者98名の全試料から検出され,平均値は92.5±55.1となり,最高値は298,最低値は10.0であった。これらの分析結果は、研究参加者の年齢,1日の喫煙本数,唾液中コチニン(ニコチン代謝物)量,呼気中一酸化炭素濃度,1日の総吸煙量,酸化ストレスマーカーの8-OHdG及び8-isoprostane量と相関関係が認められた(p<0.001)。海外の喫煙者の尿中NNAL量と比較すると日本人喫煙者の尿中NNAL量は低値であった。これは,我々のたばこ主流煙のたばこ特異的ニトロソアミン類(tobacco specific nitrosamines;TSNAs)の先行研究から,国産たばこは、海外産たばこと比較するとNNKが低く抑えられていることと一致する。一方で,国産たばこ主流煙には発がん性のあるTSNAのN'-nitrosonornicotineが多く含まれるため,この代謝物分析法の開発も必要である。
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