研究課題/領域番号 |
25871158
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
宮本 友司 国立感染症研究所, その他部局等, 研究員 (40392328)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 抗酸菌 / 代謝動態 / 遺伝子マーカー |
研究実績の概要 |
本研究は、抗酸菌が宿主細胞内で増殖する、すなわち細胞内寄生性を発揮するために必要な抗酸菌の基礎代謝動態・機構を解明することを最終的な目的としている。しかし、宿主細胞内での抗酸菌代謝系の動きを適切に評価し得る遺伝子マーカーは未だ同定されていない。ハンセン病の起因菌である Mycobacterium leprae は、人工培地での増殖能を欠く偏性細胞内寄生菌であることから、この菌のマーカーは細胞内寄生時の抗酸菌代謝系の動きを如実に反映していると考えられる。そこで、マーカー候補の中でも、比較的環境応答により変化し易いとされている ribosomal RNA に注目した。これらの内、16S rRNA については、細菌の代謝動態や生存度を評価し得る指標の一つとしてとして知られているが、残存する傾向が強いため、機敏な評価には適さない面がある。一方、16S rRNA の生合成前駆体である precursor rRNA は環境の変化に素早く対応してその分子数が増減するため、細菌等の代謝動態等を機敏に評価する上で 16S rRNAよりも優れているとされる。しかし、他の細菌類とは異なる生理的特徴を有する M. leprae の precursor rRNA については未だ解析が行われておらず、その挙動も不明である。そこで、栄養成分の量比や代謝阻害剤の有無等諸条件を変化させた培地に M. leprae 一定時間に接触させ後、各条件における precursor rRNA の定量を RT-qPCR により行った。その結果、栄養養成分等の変化に応じて M. leprae の precursor rRNA 量が速やかに変化することが判明した。このことは、precursor rRNA が M. leprae を含む抗酸菌の細胞内寄生性と関連する代謝動態を適切に評価し得る指標として、応用できる可能性を示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、均一化した抗酸菌を免疫細胞内で増殖させ、抗酸菌の菌体内代謝成分の解析を行う予定であった。しかし、均一化のための適切な条件を見出すことが出来なかったため、免疫細胞内で増殖させた抗酸菌の菌体内代謝成分の解析を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、抗酸菌の均一化のための適切な条件を見出すことに重点を置く。均一化が実現し、免疫細胞内で抗酸菌を増殖させることが可能となった場合に、その増殖に伴う抗酸菌代謝動態の評価に、本年度解析を行った遺伝子マーカーを応用する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末納品等にかかる支払いが平成28年4月1日以降となったため、 当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。 平成27年度分についてはほぼ使用済みである。
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次年度使用額の使用計画 |
上記のとおり。
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