研究課題/領域番号 |
25871160
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
関口 正宇 独立行政法人国立がん研究センター, 中央病院, レジデント (50648342)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 大腸癌スクリーニング / 全大腸内視鏡検査 / 医療経済 / マルコフモデル |
研究概要 |
日本において内視鏡を用いた大腸癌スクリーニングの医療経済的評価は皆無に等しく、その評価の必要性は言うまでもない。本研究は、マルコフモデルを用いた解析を行うことで、日本における大腸癌スクリーニングの医療経済性について、内視鏡をどのように用いたスクリーニング方法が最も医療経済的に妥当なのかを含めて検討していくことを目的とし、平成25年度に開始となった。平成25年度に、解析において必要となるパラメーター(年齢別のポリープの有病率、大腸癌のステージ分布や生存率、各種検査や治療の費用、各検査の大腸癌に対する感度・特異度、内視鏡の偶発症の割合等のデータ)を、全国データ、当施設データ、関連施設データ等を検索・解析することで収集した。また、解析において必要となるモデルの作成を完成させた。具体的には便潜血検査を一次スクリーニングとするモデル、全大腸内視鏡内視鏡検査を一次スクリーニングとするモデル、全大腸内視鏡検査をある年齢で一度だけ行うモデルの3種類を作成した。現在このモデルを用いた解析が進行中で、平成26年度に各モデルにおける、大腸癌発症数、大腸癌により失われる人年、費用等が算出され、cost effectivenessの指標であるICER(incremental cost effectiveness) 等の指標も算出される予定である。また、当初の予定通り、平成26年度に、モデル内における複数のパラメーターを動かすことで感度分析を行い、医療経済性についてより詳細に検討を加えていく予定である。必要となる検査数も算出されるので、その結果を基に日本のスクリーニングの現状に照らし、より現実的なスクリーニング方法を考察していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画では各モデルにおけるICER等の指標を平成25年度には算出する予定であった。それに比べるとやや遅れているとも言わざるを得ないが、現在、モデルの作成、パラメーターの収集も終了し、もうすぐ各種指標も算出される状況であること、さらにはこの先の検討の見通し、予定もしっかり立っていることより、全体としてはおおむね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
作成した各モデルにおけるICER等の指標の算出後、感度分析を行い、より詳細に検討していく。必要となる検査数も算出し、その結果を基に日本のスクリーニングの現状に照らし、より現実的なスクリーニング方法を考察していく。またモデルそのものに、大腸癌の成り立ちに関する新たな知見も加味し、さらなる詳細な検討も行っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究自体の進行はおおむね順調であるが、研究成果を発表するのにもう少し検討を要すると判断し平成25年度には研究成果に関する発表をまだ行っていない。そのため次年度使用額が生じた。 平成25年度に発表を行わなかった分は、全てまとめて平成26年度、さらにはそれ以降に学会発表や論文等の各種形態で発表する予定である。平成26年度には、専用ソフトを用いた解析を進めるにあたって必要な費用、研究発表や情報交換に際して必要となる費用(旅費も含む)、データ管理等の研究補助に必要な人件費、その他英文校正費用などの諸経費に研究費を使用していく予定である。
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