本研究の目的は、乳がん罹患に起因する問題にピアサポートを活用しながら、乳がんサバイバーとして地域で生きていく生活の質を高める包括的支援システムを構築することであり、平成25年度は、本研究の核となる概念であるBenefit Finding とSence of Coherenceに関する文献研究を行い、研究の動向を明らかにすると共に、概念の明確化を図り、次年度以降に実施する研究の枠組みについて検討することであった(第1局面)。そのための本年度の実施計画としては、文献検索・文献検討並びに概念分析を行い、研究の枠組みの検討を行うことであった。 平成25年度の取り組みとしては、本研究の核となるBenefit Finding とSence of Coherence、さらに、ピアサポートに関する文献検討を行った。ピアサポートに関する国内外の文献を概観すると、ピアサポート事業の報告やピアサポートプログラムの内容の検討に関する報告、ピアサポートモデルの構築、がん体験者同士の関わりに関する報告があった。がん医療におけるピアサポート事業は、その目的、定義、評価の視点等について、定型化されたコンセンサスが得られておらず、患者団体やグループなどが独自に開発したプログラムによって養成されている。そのため、ピアサポーターの質の確保や活動状況はさまざまであり、標準的なピアサポーター養成プログラムの開発の必要性が指摘されていた。また、病院や地域の中でのピアサポーター事業の展開方法、評価方法について課題があることが分かった。 乳がん患者が治療を継続していく中でピアサポートを活用する意義や乳がんサバイバーにとってのピアサポーター活動の意義や継続的な看護支援、ピアサポートを中心とした相談支援機能の充実、外来看護機能の拡大と充実が図れるようなモデル作成を行っていくこととした。
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