本年度の目標は、前年度のまでの研究成果を基盤としも乳がんサバイバーとして地域で生活していく生活の質を高める包括的支援システムの構築の試案を作成することであった。 前年度までの調査結果から、家族や重要他者などのサポートがある乳がんサバイバーほど乳がんになったことのストレス等を抱えながらも前向きに捉え、がんと共に生きるためのさまざまな対応をしていくことができるものと推察された。また。乳がん患者自身が「がんになったこと」から立ち直り、乳がんになった体験について肯定的な意味づけを行いながら乳がんサバイバーとして生きていくことができるものと推察された。 これらの結果から、乳がん患者が「乳がん」になったという体験を生きていく上での成長の機会とできるような支援体制を構築していくことの重要性が示唆された。乳がん患者が自分の心身の状態や生活を整えることができるように症状マネジメントの指導、就労支援や子どもへの病気の説明ができるように看護職だけでなくチーム医療の推進を行っていくことも重要である。また、乳がん患者同士またはがん体験者同士の関わりとしてピアサポートを中心とした相談機能の充実を図ることができるような体制の整備も重要である。ピアサポートについては、ピアサポートを有効に活用していくこと、また、ピアサポーターもがん体験者であることを踏まえて、双方の支援をしていくと共に、がん体験者、ピアサポーターの両者が乳がんと共に生きていく生活の質を高めることができるような支援が重要である。
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