研究課題
免疫細胞はライソゾームを分泌やシグナル伝達の場として利用しており、そのために独自のライソゾームの環境制御システムを持っている。私たちはこれまでに、樹状細胞やB細胞においてライソゾーム局在型のアミノ酸トランスポーターSLC15A4がライソゾーム内環境を最適化することによってTLR7, TLR9を介した自然免疫応答を制御していることを明らかにしてきた。しかし、SLC15A4とTLR応答とを結ぶ分子機構の解明が未解決の課題であった。 本研究ではSLC15A4特異的なモノクローナル抗体を樹立してTLR7, TLR9, NOD1の活性化とSLC15A4依存性のライソゾーム動態制御の関係を可視化し、SLC15A4によるTLR7,TLR9応答制御の分子基盤を明らかにすることを目指した。その結果、B細胞のSLC15A4がTLR7依存性の自己抗体産生に必須であること、さらにそれが、SLC15A4がI型IFN受容体の下流でmTOR依存的に転写因子IRF7の翻訳を制御すること、それによってI型IFN-IRF7による活性化サーキット形成を媒介して自己抗体産生を誘導する、という分子機構によって担われていることを解明し、その成果を2014年9月、Cell姉妹誌のImmunity誌に発表した。本研究成果は、ライソゾームのアミノ酸輸送によってTLRを介した自然免疫炎症応答が制御されるという新しい炎症制御機構を発見したという点で、重要な研究となった。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
PLos One
巻: 10 ページ: e0123223
10.1371/journal.pone.0123223
Immunity
巻: 41 ページ: 375-88
10.1016/j.immuni.2014.08.011