本研究では,ヒトの病態を忠実に反映した脊髄小脳失調症1型(SCA1)ノックインマウスを使用した.In vivo 2光子イメージング法を用いた解析の結果,顕著な神経症状が現れない神経回路網の発達段階からすでに,SCA1マウスのシナプスは不安定化しており,この不安定化は成熟後も継続した.成熟後には,スパインの数や形態にも明確な異常が現れた.通常,シナプスは神経回路網の成熟とともに安定化することから,SCA1を含む晩発性神経変性疾患では,潜在的に神経発達そのものに障害を受けており,これが後に,シナプスの数や形態異常,そして神経症状となって現れることが示唆される.
|