平成27年度は、助成期間を通じてこれまで関東地方、近畿地方、北海道地方在住の対象の測定を実施してきたため、当初計画通り日本の子どもの代表性を確保するべく、四国地方・九州地方にて対象者の募集を行ったところ、九州地方より13名のエントリーが得られた。研究へ参加を希望した対象者および代諾者より参加への同意を得た後、二重標識水法を用いた総エネルギー消費量、間接熱量測定法を用いた基礎代謝量、食事記録法による総エネルギー摂取量の調査を行った。 二重標識水法は1週間の調査期間中、毎日採尿を行い、尿中の安定同位体比の減衰率から総エネルギー消費量を評価する。総エネルギー摂取量は、総エネルギー消費量測定期間中3日間、写真と食事記録の併用法より計算した。間接熱量測定法は、早朝空腹状態にて20分以上安静を保持した上で、15分以上の連続した呼気ガス分析を行った。 さらに、本年度中は、昨年度までに調査を行った二重標識水法による安定同位体比の分析を実施した。総エネルギー消費量の算出まですべての解析が完了した33名分のデータでは、1日の総エネルギー消費量は男児で約1350kcal、女児で1160kcalであった。残りの30名すべての解析結果を待つことになるが、日本人幼児の総エネルギー消費量は、食事摂取基準における推定エネルギー必要量とおおむね一致していた。本研究は、日本人幼児におけるエネルギー必要量策定の根拠となる初めての資料であり、幼児期の食事量を考える上で貴重なデータが得られたといえる。
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