哺乳類の骨は、両端あるいは片側に「骨端」と呼ばれる小骨を形成するが、その意義については明らかにされていない。本研究では、骨端に関する諸説を検証するとともに、骨端の意義について考察した。 鯨類の椎骨では、骨端の癒合後(骨端と骨幹の間の成長軟骨消失後)に、成長が起こっていた。このことは、骨端が骨成長の制御因子であるという説を否定する。また、成長段階に関わらず、骨端は骨幹よりも緻密で硬いことが分かった。つまり、骨端の存在が、成長に関係なく、丈夫な関節を形成し、激しい運動を可能にする。したがって、骨端は、出生後直ぐに歩行や走行を行わなければならない哺乳類において、独自に獲得された形質であるといえる。
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