シリア、ユーフラテス河中流域、テル・ガーネム・アル=アリ遺跡近郊のワディ・ダバ墓地遺跡の発掘調査から得られた前期青銅器時代(紀元前3千年紀)の墓制に関する考古学的証拠の分析、葬送儀礼に関する楔形文字記録の収集、同遺跡出土試料の脂質分析を行い、古代メソポタミアの葬送儀礼について調べた。その結果、追葬に伴う同一墓の定期的な利用、墓を連結する水路網の構築など楔形文字資料が記録する各種の葬送儀礼を示唆する幅広い考古学的証拠を示した。さらに、薬用植物を用いた死者供養の可能性など当時の葬送儀礼に関する新たな側面を考古学の成果から提案する証拠を得た。
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