研究課題/領域番号 |
25871183
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研究機関 | 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館 |
研究代表者 |
阿部 真弓 独立行政法人国立美術館国立西洋美術館, 学芸課, リサーチフェロー (60537330)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 前衛的古典主義 / 複製技術 / 美術館 |
研究実績の概要 |
本年度は、1910年代から1920年代を中心とするヨーロッパの画家たちの作品調査および芸術家と文学者たちの著述および関連文献の収集・精読・分析を続けた。また、上記の調査と関連するなかで複製技術、美術館、文化政策、広告美術の文献・資料等を収集し読み進めるとともに、本研究課題のテーマに関して、総合的な検証と分析を進めた。 なかでも画家たちの著述に関して、芸術・文学雑誌を閲覧し、雑誌初出時の挿図と著作のページ上の挿図や表紙の図版とを比較するなど、これまであまり扱われなかった複製図版を中心として、テクストとイメージの相互関係やレイアウト等に着目して新しい視点から検証することを試みた。 平成27年度におこなった調査研究の成果は、主に次の論文において執筆し、また平成28年度に刊行予定の論文等に執筆している。論文タイトルに続く( )内は、各論の主な言及対象である。 ①「冒険と秩序の間--画家たちの著述および芸術誌挿図からみる前衛と古典主義」(『レスプリ・ヌーヴォー』『ヴァローリ・プラスティチ』、オザンファン・ジャンヌレ『近代絵画』、モーリス・ドニ『理論』、ロジェ・ビシエール、ジョルジョ・デキリコ、フランシス・ピカビア)②「古典古代と〈未来〉の共鳴:「パラード」(1917年)と前衛的古典主義の時代」(バレエ・リュス「パラード」の舞台美術、パブロ・ピカソ、ジャン・コクトー、ジーノ・セヴェリーニ)。
平成26年3月にイタリアの3つの美術館において実施したインタビューについて、ウフィツィ美術館素描版画部門室長マルツィア・ファイエッティ氏のインタビュー抄訳を、平成26・27年度における調査内容の概要と併せて、調査報告「21世紀の美術館と文化財の創造力――イタリアの3つの美術館の事例をめぐって(2)」としてまとめ、研究紀要に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
継続的に行ってきた資料収集、その精読と分析作業およびその公表が進んでいる。 いっぽうで、国際的な治安状況を鑑み、海外における作品調査・資料収集を自粛した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、継続して、おおむね計画通りに調査研究を進める。また、研究成果成果の公表にさらに努めるとともに、大学教育の場を含め広く発信していく。課題の期間内に可能と判断される調査は実施し、または他の調査方法も含めて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際的な治安状況を鑑み、海外における調査出張の実施を自粛した。
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次年度使用額の使用計画 |
主に平成28年度に延期された調査出張に使用する。
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