本研究は、20世紀の前衛絵画の時代を経験した後の西洋の画家たちにおける「前衛」と「古典主義」的志向の間の諸問題をあらたな視点から再検証することを目指した。本課題の主な成果は、対象とする画家たちの絵画作品と著述、著作と芸術雑誌上の複製図版の分析を通して、次の2つの論題を明らかにしたことにある。1)19世紀末から20世紀初頭における、絵画をめぐる「秩序」と「古典」の語の意味の多義性とニュアンスの変容。2)複製媒体および加工可能な画像としての芸術作品の複製図版をめぐる創造的な経験と受容が、20世紀初頭の芸術家たちの芸術史観(とその表象の諸方法)をいかに変容させたかという歴史的過程。
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