研究課題
平成27年度は、単独物質の有害性推論手法と複合影響評価手法とのそれぞれに関連する研究を行った。単独物質の有害性推論手法の研究としては、インビトロ実験から得られた遺伝子発現データを用いて、類似化合物を分類する方法論について研究を行った。これは、read-across(類推:有害性情報のない化合物の有害性を、有害性情報のある化合物の情報から予測する方法)に資する手法開発である。遺伝子発現データは、化合物数に対して非常に多くの遺伝子数のデータが報告されるという特徴を持つ。そのため類似化合物の分類を適切に行うためには、異なる化合物に対しては異なる発現パターンを明確に有する遺伝子群を抽出する必要がある。そこで、解析対象とする遺伝子を抽出するために2つのアプローチを提案した。提案した2つのアプローチは、組合せ最適化手法とクラスター分析をそれぞれ応用したアプローチである。これらの成果について、複数の学会で発表を行った。一方、複合影響評価手法の研究としては、複数物質を同時に暴露した際の影響率の予測値を区間推定する解析的手法を構築した。またその応用として、複合暴露試験結果が、複合影響評価手法でスタンダードとなっている濃度加算法(CAモデル)による予測と一致しているかを判別する方法を提案した。本提案手法は、非常に簡単な計算に基づくため、計算プロセスの透明性も高く簡易な方法であるという利点がある。さらに、提案手法の妥当性を検証するために、提案手法による計算結果と、よく行われているシミュレーションによる結果との比較を行った。この検証は、仮想データとメダカを用いた複合暴露実験の実データのそれぞれを用いて行った。そして、仮想データ、実データいずれの場合でも、解析的方法による予測とシミュレーションによる予測とが類似しているという結果を得た。この成果については、国際誌に採択されることとなった。
すべて 2016 2015 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Journal of Bioscience and Bioengineering
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.jbiosc.2016.02.007
Environmental Toxicology and Chemistry
10.1002/etc.3334
Proceedings of the 2015 Seventh International Conference of Soft Computing and Pattern Recognition (SoCPaR 2015)
巻: - ページ: 60-63
http://staff.aist.go.jp/jun-takeshita/index.html