リチウムイオン電池の電解液は粘度が低いほど、またイオン伝導率が高いほど優れた電池性能を示すとされている。しかしながら本申請者が前年度までに報告したように、低融点リチウム塩を用いたアルカリ金属溶融塩は粘度が1000倍以上、有機電解液の100分の1以下のイオン伝導率であるにもかかわらず有機電解液とほぼ同等のレート特性を示す。本申請者はこの溶融塩を電解液に用いたリチウム二次電池について研究を行っている。 昨年度よりこの溶融塩のレート特性の特異性の要因について、電極-電解液界面に着目し、界面抵抗をインピーダンス測定し、一般的な有機電解液やイオン液体電解液と比較した。本年度は合剤電極粒子固相内のリチウムイオン拡散に着目し、サイクリックボルタメトリーにより拡散係数の測定を行った。結果、有機電解液と比べて拡散係数は若干小さく、レート特性が高い要因でないことが分かった。従って、現状ではレート特性が高い要因としては、昨年度に測定したリチウム金属に対する界面抵抗が他の電解液より小さいことが最も可能性が高いと考えられる。この内容について1件の国内学会発表を行った。 また、基礎研究としてアルカリ金属溶融塩中におけるアルカリ金属の析出試験について、前年度の二極式セルでの電位が不明瞭である問題を解決するため三極式で参照極にリチウム金属およびナトリウム金属を使用して測定した。この内容について1件の国内学会発表を行った。
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