研究課題/領域番号 |
25871191
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
寺本 慶之 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理研究部門, 研究員 (00635328)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プラズマ / 触媒 / 複合技術 / 活性種 |
研究実績の概要 |
プラズマ・触媒複合技術による揮発性有機物質(VOC)ではオゾンとVOCの触媒表面反応が重要な役割を果たしている。またこのオゾン生成は主にプラズマ中のO原子と酸素分子との反応により生成されることが知られている。しかし、空気プラズマ(ストリーマ放電)中のO原子の詳細な挙動観測はこれまでにない。本研究では二次元二光子吸収レーザー誘起蛍光法(2D-TALIF)を用いることで、ストリーマ進展中におけるO原子の二次元の挙動観測を試みた。大気プラズマ中におけるO原子の2次元計測に世界で初めての試みとなる。計測の結果から、放電進展直後(0-20 ns:一次ストリーマ)においてO原子はほとんど生成されていないことが分かった。一方、放電後20 ns(二次ストリーマ)から急激にO原子密度が増加し、160 nsにかけて上昇していくことが分かった。またO原子密度の上昇速度は高電圧印加電極から離れるにしたがい徐々に低下していった。二次元密度分布の計測結果から、O原子は高電圧印加電極近傍で多く生成され、電極から離れるにつれ急激に減少していった。 次に電圧波形がO原子生成量に与える影響を調査した。パルス幅100 nsと400 nsの電圧波形を用い、O原子生成量を比較した。結果からパルス幅が短いほど、O原子が急速に生成されることが分かり、この結果短パルスの方がO原子生成エネルギー効率が高いことが分かった。 これらの知見を基に、プラズマ・触媒複合技術への投入エネルギー波形の最適化を行えば複合技術のエネルギー効率の向上を行えることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
世界で初めての試みとなる大気プラズマ発生中におけるO原子の2次元計測に成功したことから、研究は順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
高エネルギー効率で得たオゾンから効率よく表面活性酸素種を生成する触媒を模索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の機器が通常より長い納期を要したため、発注中止となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
色素・ミラー等のレーザー消耗品の購入。 触媒合成のための化学薬品の購入。 学会発表における旅費。
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