研究課題/領域番号 |
25871192
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
堂前 篤志 独立行政法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 主任研究員 (20357552)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 量子化ホール抵抗 / 抵抗分圧器 |
研究実績の概要 |
本研究は「量子化ホール抵抗(QHR)素子を集積化して公称分圧比が10:1のQHR分圧器を製作し、その分圧比を市販最高精度の計測器を超える0.1E(-6)オーダーの精度(測定の不確かさ)で評価すること」を最終目的としている。この最終目的を達成するため、「公称分圧比10:1のQHR分圧器の製作」と「分圧比評価システムの構築」の2本立てで研究開発を進めている。 「公称分圧比10:1のQHR分圧器の製作」において今年度は、平成25年度に着想した“QHR分圧器製作の歩留まり向上を期待できる新たな配線パターン”について検証を行った。具体的には、その配線パターンを採用した場合の分圧比のエラー成分(公称分圧比からのズレ)の大きさを回路解析および数値計算により試算した。その結果、新たな配線パターンは歩留まり向上を期待できる上に、公称分圧比からのズレの大きさが従来型の配線パターンと遜色ないことが明らかとなった。そのため、新たな配線パターンを採用してQHR分圧器の設計を進めている。 「分圧比評価システムの構築」において今年度は、平成25年度に製作した基準抵抗分圧器の評価を行った。具体的には、基準抵抗分圧器の分圧比の”時間経過に対する変化(経時変化)”および”温度に対する変化”を評価した。これらの評価結果から、製作した基準抵抗分圧器は、QHR分圧器の分圧比を0.1E(-6)台の不確かさで評価するために十分な性能を有することが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
“QHR分圧器製作の歩留まり向上を期待できる新たな配線パターン”の有用性を回路解析および数値計算により明らかにする作業に時間がかかったため、QHR分圧器の製作作業に着手できていない。
|
今後の研究の推進方策 |
公称分圧比10:1のQHR分圧器の製作に着手し、その分圧比の評価を実施する。 公称分圧比10:1のQHR分圧器の製作に大幅な遅延が生じるようであれば、すでに製作が完了している2進数型QHR分圧器の分圧比の精密評価を実施する。2進数型QHR分圧器の精密評価によりQHR分圧器のもつ高い性能を定量的に示すことが可能となる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
QHR分圧器の製作の遅延により、製作に要する費用を今年度使用しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は、QHR分圧器の製作において使用する予定である。
|