研究課題
アルカリ火成岩に含まれているジルコンやユージアル石などの鉱物が、資源として重要な重希土類元素(HREE)を多量に含有することは古くから知られていたが、風化や変質に強く分解しにくい鉱物(難溶性鉱物)であるため、これまで資源開発の対象にはなっていなかった。しかし、研究代表者らの研究により、アリカリ火成作用に伴う熱水活動の過程で、形成されたHREE含有ジルコンは、結晶性が著しく低下しており、簡単な酸処理でHREEを抽出できることが判明した。そこで、本研究課題では、ジルコン以外の鉱物にもこの手法を適用し、HREE資源として利用可能な難溶性鉱物の資源評価法を提案することを研究の目的とする。平成25年度は、Mendel大学のKynicky准教授と共同で、モンゴルKhad Bogdアルカリ岩鉱床の共同調査を実施し、エルピダイト、ジルコンなどの難溶性鉱物の詳細な分布調査を行った。平成26年度-平成27年度にかけては、Khan Bogdなどの4地域から採取されたエルピダイト、ジルコン、モサンドライト、ユージアル石、フェルグソン石に対して、EMPAとLA-ICP-MSを用いた希土類含有量の決定と塩酸を用いたHREEの抽出実験を行った。その結果、フェルグソン石とモサンドライトは高濃度のHREEを含有しており、結晶性の低いこれらの鉱物からは、薄い酸を用いて、簡単にHREEを抽出できることが判明した。ジルコン、フェルグソン石、モサンドライト以外の難溶性鉱物中のHREE含有量は、かなり低く結晶性に多様性がない。そのためHREE資源として有望な鉱物は、ジルコン、フェルグソナイト、モサンドライトである。本研究では、X線粉末回折を用いた難溶性鉱物の簡単な結晶性の評価により、HREE資源として最適な鉱物の評価法を提案できた。
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