研究課題/領域番号 |
25871194
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
天谷 康孝 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10549900)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 熱電効果 / 絶対熱電能 / ゼーベック係数 / トムソン係数 / 交直変換標準 / 交流電圧標準 |
研究概要 |
交流信号を用いて従来の直流法よりも正確かつ簡便な熱電能の絶対測定技術を開発することが本研究の目的である。今年度の研究計画に従い、①交流―直流法によるトムソン係数の理論的な導出、②トムソン係数評価用のテストフィクスチャの開発、③室温におけるトムソン係数の評価の3つの課題を設け研究を進めた。それぞれの課題について次の成果を得た。 ①一次元熱伝導解析から交流-直流法によるトムソン係数を新たに導出することに成功した。従来の直流法とは異なり、正確な評価が困難な試料の熱伝導率がなくとも、交流電流値、交流電気抵抗からトムソン係数を算出可能であることが示された。 ②トムソン係数評価用テストフィクスチャを試作した。実験装置は真空チャンバ、標準交流/直流電流発生装置、直流電圧計から構成される。試料端の温度を一定に保つため、ステ-ジには無酸素銅ブロックを設置し、PID温度制御を行った。試料中央部には、極細熱電対を取り付けた。対流伝達を抑制するため、試料ステージは真空チャンバ内に設置した。 ③交流-直流法によりPt線のトムソン係数の評価を行った。実験条件は電流実効値2.5 A、温度勾配60 Kである。交流-直流法によって得られたトムソン係数は-8.3±0.3 μV/Kであった。一方、従来の直流法により得られたトムソン係数は-8.2±1.1 μV/Kであった。以上、本年度の研究により、交流-直流法を用いることによって、熱伝導率や素子寸法情報がなくとも、正確にトムソン係数を評価可能であることが実証された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画に基づき研究を進め、各課題での目標を概ね達成した。新たに考案した交流-直流法によるトムソン係数の評価に成功したことは、本研究における重要な進捗であった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により、交流-直流法によるトムソン係数の評価法が確立された。残された課題は、ケルビンの関係式に基づき絶対熱電能を算出するため、トムソン係数の温度依存性および超伝導体を用いた熱電能評価技術を確立することである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は室温でのトムソン係数の評価に予想より多くの時間を費やした。 研究費の主な使途は、温度依存性評価に必要なクライオスタットや低温用テストフィクスチャの部材である。室温近傍での温度依存性評価用部材に予定していた予算の一部を次年度に使用する。
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