材料単体の熱電能(絶対熱電能)の新規評価手法を確立するため、トムソン効果を用いた測定技術の開発を実施した。交流信号を試料に印加したときの一次元熱伝導をフーリエの法則に基づき厳密に解析し、トムソン係数の新たな公式を導出した。白金材のトムソン係数を測定した結果、新規手法によって得られたトムソン係数は-8.3±0.3 μV/Kであった。一方、従来法によって得られたトムソン係数は-8.2±0.4 μV/Kであり、両者は標準偏差の範囲内でよく一致した。以上の結果から、新規測定法により熱伝導率や素子寸法情報を必要とせず、トムソン係数を評価可能であることが実証された。
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