研究課題/領域番号 |
25871196
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
浅沼 周太郎 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, 研究員 (30409635)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 強相関エレクトロニクス / 電子・電気材料 / 電子デバイス・機器 / 表面・界面物性 / 強相関電子系 |
研究実績の概要 |
研究計画に基づき、下記の手順で固体ゲートMott transistorの開発を進めた。 本研究で開発に取り組んでいる固体ゲート強相関酸化物FETは、チャンネルとゲートが共に酸化物であるため、チャンネル-ゲート間で酸素イオンが移動し易い。そのため、電荷のみをチャンネルにドープするのが難しく、また素子を流れる電流の変化が、電荷ドープによって誘起されたのかそれとも酸素イオンの移動によって引き起こされたのかを判断するのも容易ではない。 H25年度の実験結果は、ゲートに電圧を印加してもチャンネルが金属絶縁体相転移を起こしていないことを示していたが、この結果が、電荷のドープ量が不十分だった結果なのか、またはゲート絶縁膜として用いたHfO2中の酸素イオンがゲート電圧により動きチャンネル中に移動してしまった結果なのかが明らかではなかった。そこで、H26年度は、HfO2を酸化膜層としたReRAMを作成し、その特性を調べ、HfO2をゲート絶縁膜として利用した固体ゲート強相関酸化物FETの特性と比較することで、酸素イオンの移動による素子の特性への影響を調査した。 その結果、固体ゲート強相関酸化物FETの実験で観測された素子の特性はReRAMの特性とは異なっていることが分かった。この結果は、固体ゲート強相関酸化物FETの実験で良い結果が得られなかった原因は酸素イオンが移動してしまっているからではなく、ゲート絶縁膜の成膜条件が最適化されておらず、耐電圧特性等が十分でなかったことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
モット絶縁体に金属絶縁体相転移を誘起するのに必要な電荷量をドープ可能なゲート絶縁膜の成膜に時間が掛かっており、予定していたナノレベルの微細化に進めていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究により、素子が動作しないのは、酸素イオンの移動ではなく、ゲート絶縁膜の耐電圧及び誘電率に問題があることが分かった。今後はHfO2膜の成膜条件及びアニーリング条件等を見直し、ゲート絶縁膜の最適化に取り組む。具体的には水素と窒素の混合ガスを用いたフォーミングガス中でのアニール処理等を行い、ゲート絶縁膜の最適化を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
試料の作製に手持ちの材料を利用出来たため、消耗品への出費を抑えられたため。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度はゲート絶縁膜の成膜条件の最適化を促進するために、より多くの実験を行う予定である。共用装置の利用量も増えることが想定されるため、その利用料に充てる。
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