研究課題/領域番号 |
25871202
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
設楽 佳世 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学部, 契約研究員 (00632845)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 日本人一流競技選手 / 筋分布パターン / 競技種目特性 / MRI法 |
研究実績の概要 |
一流競技選手の筋の量やその分布状態を競技種目特性との関連から明らかにすることは,競技種目別に目標とする筋形態レベルを知ることや,競技種目に応じたトレーニング方法を明確化することにつながる.しかしながら,筋の分布パターンの競技種目特性について,日本人一流競技選手を対象として詳細且つ定量的に示した研究は皆無に等しい.そこで本研究では,MRI法により得られた体幹部および大腿部の横断画像から筋断面積を定量し,1)未だ知見の乏しい15歳以下のジュニア選手を含む一流競技選手を対象に,体幹筋断面積の競技種目差について検討すること,2)大腿部各筋の分布パターンにみられる競技種目差について検討することを目的とした. 1)6競技種目(アーチェリー,卓球,ノルディック複合,バスケットボール,レスリング,体操競技)における12~18歳の一流ジュニア選手188名を対象に,MRI法を用いて腹直筋,外側腹筋群,大腰筋,脊柱起立筋の横断画像を取得し,各筋の横断面積を分析した.その結果,12~15歳の女子体操競技選手では,他競技に比べ外側腹筋群および脊柱起立筋が筋発達していることが明らかとなり,女子中学生期において競技種目特性に応じた体幹筋の選択的筋肥大が起こり得る可能性があることが示唆された. 2)国内トップレベルのスピードスケート短距離選手,陸上短距離選手,自転車短距離選手各1名ずつを対象に,右大腿部の筋の連続横断画像をMRI法により取得し,筋別に全スライスの筋横断面積を定量した.その結果,1)大腿四頭筋では,外側広筋および内側広筋の最大筋断面積に競技種目差がみられる,2)ハムストリングでは,最大筋断面積が現れる部位に競技種目差がみられる,3)先行研究の結果に基づき一般人のデータと比較すると,大腿四頭筋,ハムストリング,内転筋において,その差がいずれも近位で顕著にみられることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度より開始した,一流ジュニア選手の体幹筋断面積の競技種目差に関する研究成果は,原著論文として国内著名誌に出版された.初年度より実施している,一流競技選手の大腿部の筋分布パターンにみられる競技種目特性に関する研究では,これまでの分析結果より,当初予定していた1cm間隔に取得した全スライスの分析を行わなくても,大腿長10%毎に各筋の筋断面積を定量することで,全体としての筋分布パターンをつかむことができることが確認できた.また,平成29年度より変更となった所属機関において,本研究を継続するための準備を整えた.以上より,本研究が概ね順調に進行していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
これまでデータ取得が完了している,一般人および男性競技選手(スピードスケート短距離,陸上短距離,自転車短距離,フェンシング,バドミントン)のデータ分析を引き続き進める.競技種目特性が顕著にみられると予想される大腿部の筋分布パターンについて,優先的に検討する.分析が完了したデータから随時学会発表や論文としてまとめ,年度内の成果公表を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
データ取得を所属機関の体力測定の一環として実施したため,当初予定していた被験者謝金が不要となり,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表に必要な旅費,論文投稿時にかかる投稿費および英文校正費,本研究に関わる参考図書の購入費として,使用する予定である.
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