本研究では,瞬発的な筋力発揮能力の向上を目的としたトレーニングによる姿勢制御能力等の筋力以外の能力への影響(効果転移)について明らかにすること目的とした.健常な高齢者をトレーニング群,コントロール群へと群分けした後,トレーニング群に対して足関節底屈における瞬発的な筋力発揮能力の向上を目的としたトレーニングを4週間,週2回の頻度で実施した.また,トレーニング期間の前後において最大筋力測定,瞬発的筋力測定,姿勢制御能力測定および下腿後面における筋厚の測定を行った.その結果,トレーニング群ではトレーニング期間終了後,下腿後面における筋厚の変化は認められなかったものの最大筋力および瞬発的筋力の向上が認められた.姿勢制御能力については,開眼片脚立位における持続時間が増加するとともに,足圧中心動揺の外周面積および矩形面積が減少した.これらの結果より,同様のトレーニングは最大筋力および瞬発的筋力を向上させるとともに,姿勢制御能力の改善等の効果転移を引き起こす可能性があることが示唆された.
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