研究課題/領域番号 |
25871207
|
研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
有光 琢磨 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (00616021)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 自由エネルギー / 31P-MRS / 筋疲労 / 骨格筋エネルギー代謝 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、一過性激運動後の骨格筋エネルギー出力(自由エネルギー(ΔGATP))の回復は筋群で異なるか検討した。 被験者は健康成人男性8名とし、一過性激運動(自体重の80%負荷で10回(0.67 Hz)×10セットのスクワット運動を30s間隔)を実施させた。被験筋は大腿直筋(RF)および外側広筋(VL)とした。運動の影響を検証するため測定は運動前(Pre)・直後(Post0)、24(Post24)・48(Post48)・72(Post72)時間後に実施した。自由エネルギーの測定は、磁気共鳴装置(MRI)を用いて筋内のクレアチンリン酸(PCr)濃度、無機リン酸(Pi)濃度、pHをリン-磁気共鳴分光法(31P-MRS)で測定し算出した。また、運動に伴う筋痛や回復期における脚の痛みの評価はVASを用いて、パフォーマンスとして等尺性最大膝伸展力(MVC)を測定した。 MVCはPreと比べてPost24まで有意に低下していたが、48時間以降に有意差は観られなかった。VASの結果は、Post48まで有意に高く、Post72で有意差は観られなかった。自由エネルギーは、VL・RFともに、Preと有意差は認められなかった。 以上の事から、筋疲労が生じるような高強度負荷運動後の回復期における骨格筋エネルギー出力は、24時間後には十分に回復しているが、筋力の低下が持続している事が明らかとなり、一過性の運動後のパフォーマンスの体現はエネルギー的側面ではなく、その他の要因によって阻害されている事が明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、当初の計画と順番が異なる研究の実施であったが、前年度に実施したケミカルシフトイメージング法を用いて筋疲労後における回復期のエネルギー代謝とパフォーマンスの関係を検証した。さらに、運動時の異筋群のエネルギー代謝および非活動筋の関与の実験も進められており、おおむね計画通りに遂行できている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、平成26年度実施の筋疲労による影響の追試、運動時の異筋群の関与、非活動筋の関与を早々に実施する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、当初の研究計画と順番が異なる実験を実施したため、物品費の計上を行っていない。また、実験実施における被験者謝金が当初の計画より少額に抑えられたことから次年度使用額が生じている。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、早々より当初より計画していた実験を2つ、重ねて、前年度より実施している実験の追試を実施する予定である。また、本年度は、実験に伴う備品の購入に重点的に予算を投入する予定である。
|