研究課題/領域番号 |
25871207
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
有光 琢磨 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 契約研究員 (00616021)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨格筋エネルギー代謝 / エネルギー効率 / ギブスの自由エネルギー / 活動交代 / 酸素摂取量 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、下記の実験を実施した。実験プロトコルは、1) 漸増率1 kg/minの漸増負荷運動、1) 6分間の低強度一定負荷運動、2) 6分間の高強度一定負荷運動、3) 繰り返し高強度一定負荷運動(6分間×2回)、4) 90秒間200%WRmax激運動に続く6分間の高強度一定負荷運動、5)繰り返し激運動(100%WRmax×3回)を実施した。あらかじめ激運動を実施する事で代謝状況を変化させた後、動員される筋エネルギーを評価する事を目的とした。
被験者は、6名の健康な成人男性であった。測定項目は、磁気共鳴装置(MRI)とサーフェイスコイルを用いて大腿四頭筋から骨格筋エネルギー代謝、さらに、筋電図を用いて外側広筋・大腿直筋・内側広筋より運動時の筋動員率、呼気ガス分析装置を用いて運動時及び回復時の酸素摂取量、近赤外線分析装置を用いて外側広筋・大腿直筋より筋内酸素動態を測定した。MR装置より測定した骨格筋エネルギー代謝に関わるデータは、運動時に放出されるエネルギー量を計算するためにも用いた。その結果、疲労困憊時の骨格筋エネルギー代謝項目は、ほぼ枯渇しており、運動時に放出されるエネルギー量は減少していた。骨格筋エネルギー代謝、筋内酸素動態、筋活動率は、低強度と高強度一定負荷運動を比較すると、共に減少するけれども、その量に違いが観られた。さらに、あらかじめ代謝状況を変化させた条件での筋活動度は、運動を継続するに伴い協働筋で変化を示していた。
以上の結果から、運動強度や運動形態の違いに伴い、活動筋内のエネルギー出力は変化を示し、それを補うように協働筋の動員変化が生じる。このことは、エネルギー効率を計算する上で、運動時のエネルギー出力量の変化を考慮する必要性を示す。次年度は、得られたデータを詳細に検討し、エネルギー効率値を算出する事を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、運動強度及び運動形態の変化に伴う骨格筋内エネルギー量の変化を示す事が出来た。しかし、エネルギー効率値の算出までには至っていない。これは、得られた実験データのノイズといった問題や実験装置の利用に時間的問題が一番の理由と考えられる。しかし、実験自体は完了している事から、平成28年度は、昨年度実施した筋損傷状態でのエネルギー出力と筋力の関係を含めて、運動強度・筋状態に伴うエネルギー効率値とパフォーマンスの関係性を算出する事を目的とする。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、昨年度実施した筋損傷状態でのエネルギー出力と筋力の関係を含めて、運動強度・筋状態に伴うエネルギー効率値とパフォーマンスの関係性を算出する事を目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、被験者を募った結果、実験スケジュールと合わず辞退者が出たことによって、予定していた被験者数より減少したためである。また、実験の実施が後半にずれたことによる学会発表・論文投稿が出来ていないためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、データの再整理し、論文投稿に係る経費として計上したい。
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