研究課題
本研究は、運動時の骨格筋エネルギー代謝に着目し、エネルギー効率の計算における自由エネルギーの関与を検討した。まず、漸増負荷運動時における代謝動態を検討した。運動強度が増大するに伴って放出される自由エネルギーは、線形的に減少し酸素摂取量もまた線形的増大を示した。次に、6分間の一定負荷運動時において、自由エネルギー及び酸素摂取量は、3分-6分で有意な変化が観られなかった。これまでの運動中のエネルギー効率の計算ではエネルギー源であるATPから放出されるエネルギー量を一定として計算するが、本結果により自由エネルギー量は運動強度に依存して減少する事、さらに、その数値は安静時で-13.70から疲労困憊時で-12.32 kcal/molであることを示した。複数の活動筋内エネルギー代謝を検討するため、予備実験において、底屈運動時の自由エネルギー放出量を測定した。その結果、ヒラメ筋及び腓腹筋のエネルギー量は、運動強度の増大と共に減少し、その動態に違いが観られた。これに基づき、自体重80%負荷スクワット運動時の外側広筋・大腿直筋代謝を、pre・post 0h・24h・48h・72hで測定した。その結果、両筋における自由エネルギー量は、preと比較して有意な差を示さなかった。これまでのエネルギー効率の計算は、ATPから放出されるエネルギー量は変動しないと仮定し算出されてきたが、運動強度の変化に伴う減少結果は、活動筋動員増大及び酸素摂取量の増大を誘発する事を示している。また、一過性高強度負荷運動直後のエネルギー放出量は、preと比較して変化が観られていない。エネルギー代謝測定に要するMR設定時間が制限因子となるが、一時的短時間高強度運動時及び回復期のエネルギー効率・代謝の結果は、筋力と言った運動を制限する因子と成らず、エネルギー代謝以外の因子によって規定される事を示した。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
Adv Exp Med Biol
巻: 876 ページ: 27-33
北海道大学大学院教育学研究院紀要
巻: 125 ページ: 193-205