研究課題/領域番号 |
25871216
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研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
渡邉 信博 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (00540311)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 筋肉 / 循環 / 交感神経 / 圧刺激 / タッチ / 緩和 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに確立した実験モデルを用いて、骨格筋への機械的圧刺激による循環反応とその神経性機序を明らかにした。実験は、イソフルレンで麻酔したラットを用い、下腿筋への持続的な圧刺激(30秒間)により誘発される心拍数および血圧の変化を記録した。 その結果、下腿筋への圧刺激により心拍数の上昇または低下が認められた。心拍反応の方向性は刺激前の安静時心拍数のレベルに依存し、安静時心拍数が比較的低い時に心拍上昇反応が生じ、安静時心拍数が比較的高い時に心拍低下反応が生じた。刺激前の安静時心拍数と心拍反応との間には負の相関が認められた。血圧についても心拍数と同様の変化が認められ、刺激前の安静時血圧と血圧の変化との間にも負の相関が認められた。 下腿筋刺激により誘発される心拍反応に寄与する自律神経を明らかにするため、心臓交感神経および迷走神経を各々遮断して実験を行った。その結果、心臓交感神経遮断により心拍反応の程度が有意に減弱した。一方、迷走神経遮断による有意な影響は認められなかった。続いて、心臓交感神経より遠心性活動を電気生理学的に記録し、下腿筋への圧刺激による応答を検討した。その結果、心拍数の変化と同様に、刺激前の神経活動レベルと神経活動の変化との間に負の相関を認めた(安静時神経活動頻度が比較的低い時に神経活動が上昇し、安静時活動頻度が比較的高い時に神経活動が低下した)。 以上の結果より、骨格筋への機械的圧刺激による心拍反応は心臓交感神経により調節されていること、さらに心拍反応の方向性は心臓交感神経の安静時活動のレベルに依存することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験モデル作成の過程で、骨格筋刺激により生じる循環反応に関して予想外の知見を得ることができた。そのため、一部研究計画を変更し、同循環反応の神経性機序の解明を行った。その結果、当初の目的を達成するための研究遂行には若干の遅れが生じているが、研究自体は順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
実験モデル(骨格筋圧刺激による循環反応)の神経性機序が明らかとなったため、これまでの結果に基づいて今後、タッチの効果について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は当初予定していたオピオイド受容体遮断薬等を用いた薬理実験を延期した。そのため、予算に残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、タッチの効果とその神経性機序を検討する。オピオイド受容体遮断薬等を用いた薬理実験を実施するため、残額を試薬の購入に充てる。
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