本研究では,マンモグラフィ画像診断において,医師の読影負担の軽減と診断能の向上を実現し得る画像処理技術要素を開発することを目的とし,1)乳房辺縁領域の自動抽出手法の開発,2) 腫瘤領域,石灰化領域,乳腺構築等の形態特徴の抽出手法の開発,3) 病変領域の自動検出手法の開発,4) 病変等の形態情報を容易に把握できるような描出手法の開発を実施した.平成26年度は,3)および4)の研究課題を遂行した.研究成果の概要は次のとおりである. 「病変領域の自動検出手法の開発」では,乳腺構築が乱れている部位の自動検出手法の開発を実施した.とりわけ,本邦の女性のマンモグラフィ画像にも対応可能なよう,特に乳腺密度の高い領域の処理に焦点を当てた.研究代表者が考案した従来のmathematical morphologyの拡張的画像処理手法:Rotational morphological processing(RMP)に基づき,低コントラストな病変領域の抽出手法を開発した. 「病変等の形態情報を容易に把握できるような描出手法の開発」では,乳房領域中の病変領域の位置や形態特徴を一目して把握できるような描出手法を開発した.原画像から,乳房辺縁領域(スキンライン)や腫瘤等の病変,さらには,乳腺構築等を抽出し,それらの形態特徴を重ね合わせ,一枚の画像として表現した. 研究期間全体を通じ,これまでに開発したRMPの数理理論に基づく画像処理手法を基盤として,マンモグラフィの診断に必要な,形態情報の頑健かつ汎用的な抽出および,病変領域の自動検出に関する複数の技術要素を構築した.開発した画像処理技術やその解析結果は学会等で発表するとともに,学術論文としてもまとめることができた.
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